「年老いた妻の面倒を長男に世話させる代わりに不動産や預貯金を相続させたい」と考える遺言者は少なくありません。負担履行の代わりに財産を遺す遺言を「負担付相続させる遺言」といい、負担付遺贈の規定が準用されます。
ここでは、「負担付相続させる遺言」について、福岡の相続・遺言対応の行政書士が解説しています。
負担付相続させる遺言について
「負担付相続させる遺言」は、遺言者の財産を指定した相続人に相続させる代わりに義務の履行の付けた遺言のことです。
「負担付相続させる遺言」は、「妻の扶養」や「住宅ローンの支払い」の負担の代わりに不動産を相続させるケースがあります。
負担の履行
「負担付相続させる遺言」の負担は法的には条件ではないため、負担の履行は遺言の効力発生要件ではありません。条件とすると、成就・不成就の確定が明確ではありません。
負担が履行されない場合は、受益者である妻は家庭裁判所に遺言の取消しを申し立てます。
また、負担の履行の可能性を高めるために「遺言執行者」を定めることも可能です。
「負担付相続させる遺言」の重要ポイント
「負担付相続させる遺言」に記載する重要ポイントについて確認します。
相続財産の帰属
「遺言者は、遺言者の有する一切の財産を長男○○に相続させる」のように「負担付相続させる遺言」では相続財産の帰属について明確に記載します。
全財産を長男が相続する代償金を支払う場合は「長男○○は、前項の遺産を取得する代償として、長女○○に対し、金○○を支払う」の1文を加えます。
負担の内容
具体的な扶養金額を明示することも可能です。
例えば、「長男○○は、相続の負担として、妻○○が死亡するまで同居し、遺言者の死亡した日の属する月の翌月から、妻○○が死亡する日の属する月まで、妻○○に対して、生活費・金○○円を、毎月〇日に支払わなければならない。」と記載します。
遺言執行者の指定
負担の履行を監督するために遺言執行者を定め、履行の取消しについて記載することも大切です。「遺言執行者○○○○は、長男○○の負担の履行を監督し、長男○○が負担を履行しないときは、相当の期間を定めて履行を催告し、期間内に履行がないときは、家庭裁判所に遺言の取消しを請求する」
付言事項
法的効力のない付言事項に、遺留分侵害請求権を行使しないように求め、理由を記載します。遺留分侵害請求権の行使の遺言での抑制は、法的拘束力はありません。
例えば、「遺言者は、長男○○に遺言者亡き後の妻○○の扶養を任せ、遺言者の財産を相続させる。遺言者は、長女○○が遺留分侵害請求権の行使を控え、長男○○とともに妻○〇と仲良く生活していくことを希望する」と付言事項に記載します。
行政書士の遺言作成について
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